2010年9月28日火曜日

久々のクラシック音楽観賞

今日の午後は、クラシック音楽のコンサートに行ってきました。
ここ数年、バタバタと忙しかったのと、いいプログラムがなかったのでコンサートホールに行くのは約2年ぶりです。



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今日の曲目ですが、

  • ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調 作品58
  • マーラー 交響曲第1番「巨人」 ニ長調

でした。Staaskapelleが主催する2010/2011年シーズン最初の定期演奏会です。
シーズン開幕に相応しく、馴染みのある作曲家の作品が演奏されるということで、客席はほぼ満席状態でした。



私のお目当てはベートーヴェンではなくてマーラーでした。
マーラーの交響曲がハレのStaatskapelleのプログラムに登場するのはかなり久し振りじゃないかな。
4年ぐらい前に一度交響曲第5番を聞きに行ったことがありますが、
この時はお世辞にも上手いとは言えない出来でした。
まぁマーラーの交響曲の演奏はすんごい難しいし、
中堅クラスのオケのレベルでは手に余るものなのかもしれません。



さて、この日のマーラーはどうだったかというと・・・。

第1楽章。弦楽器によるA音(日本語音名ではラ)のフラジオ(倍音)で冒頭(朝の風景)が静かに始まり、
時折聞こえる鳥のさえずり(これはエス・クラかな)はよかった。出だしはバッチリ!!
さらにその直後ぐらいに聞こえてくるバンダ(banda: イタリア語で舞台外での演奏)のトランペットがこれまた秀逸でした。
リズムにも切れがあるし、呼吸もピッタリ。何より素晴らしかったのが音色。しびれましたねー。
バンダのトランペット3管(一本はアシかな)はその後静かに舞台に入ってきました。
その後、チェロが第一主題を弾き始めますが、音はよかったけど、パート内の呼吸がイマイチ合ってませんでした。
チェロだけでなく、弦セクの不安定さが目立ちました。

1楽章では総じて弦楽器の演奏は手探り状態といった感じでした。
所々でメロディアスな部分での歌い込みはよかったけど、まだ「マーラーとはなんぞや」と方向性を模索してるっていう感じ。
目立たないけど、2ndヴァイオリン、ヴィオラは、下降音形の受け渡しでモゴモゴして訳がわからなかった。
弦セクションを観察していて気付いたのは、ユニゾンが少ないということ。
全般的に各パートが独立した演奏をしているし、プルト別弾き(In Out別、奇数、偶数別)、
2soli(2人だけの演奏)なんかも結構ありました。19世紀後半ぐらいの曲にはよくみられますが、 こりゃ難しいな。
それに対して、菅セクション・打楽器は元気そのものでした。全楽章通して一番元気だったかな。
トランペットは言うまでもなく、ホルン、トロンボーンの音がとにかく秀逸。
木管楽器も素晴らしかった。出番が決して多くないエス・クラ、持ち替えのピッコロもいい味出していました。
木セク、菅セクがとても安定している演奏を聞くのは、今回が初めてかも。



第2楽章。ベースsoliから始まるスケルツォ。ズッズーン、ズッズーンというお腹に響くような音に続いて、
ヴァイオリンが舞踊風のメロディーを奏でます。第一主題よりもこの冒頭がタイタンでは一番馴染みのメロディーかも。



第3楽章。日本で馴染みの曲「グーチョキパーで何作ろう」を短調にした感じの曲。
グーチョキパーの歌は楽しげだけど、これはちょっと・・・。虚ろな感じのメロディーになっています。
秀逸すぎる菅セク。ここでもオーボエが大活躍。 菅セクがどの楽章でもリードしまくり。
交響曲を1から4楽章通して聞く際、大抵3楽章にはローテンポの静かな曲が来ることが多いですが、
タイタンの場合はちと違う。もったりしたメロディーが終わったと思えば、
今度は木管にゆるおどけたような軽快なリズムの演奏をもとに、シンバル&ドラム、そして木の乾いた音が粋な、
弦楽器のコルレーニョ(弓の毛と木の部分を弦に叩き付ける奏法)が加わってきます。ズンッチャ、ズンチャッって感じに。
リズム、メロディー、音色共にヴァリエーション豊かでほんとに楽しい楽章です。
この楽章、確か1stヴァイオリンのトップサイドによるSoloがあった。見事な演奏でした。
それに比べてコンサートミストレスは・・・。今回、残念ながら私好みでないコンミスさんでした。
小柄なアジア人女性なのですが、数年前初めてこのオケのコンサートを聞きに来た折もこの人でした。
その時の曲目はドヴォ8(ドヴォルザーク交響曲第8番)でしたが、
第2楽章に出てくる優雅であるはずのソロを、まるで鞭でしばくような感じで弾いていたのを覚えています。
右手(弓)がコンミスの割に荒っぽいというか、音が刺々しいのです。
それに楽器のヘッドがいつも低い。ヘッドアップして弾くとよいところでも、彼女だけいつも低いのです。
特にヴァイオリンのG線を弾いている時その傾向がハッキリと現われます。



第4楽章。 冒頭にはドイツ語でstürmisch(嵐のように)と書かれています。
「タイタンといえばここ!!」と言えるぐらい、とにかく有名な冒頭。弦楽器、特に1stヴァイオリンが荒れ狂って欲しいところ。
まるで物凄い突風が「ドドー!! ヒュルヒュヒュルルー」ってやって来るような感じで・・・。
トレモロに入るところも、ハイポジションで刻むところも、嵐が金切り声をあげるが如くもっともっとガシガシ弾いて欲しかった・・・。
とにかく切れ切れの音、リズムが必要なところなのに、元気のなかった弦楽器さん、見事こけてくれました。
1stヴァイオリン、音に機敏さがなかったから何やってるのかわからなかった。

昔、10年以上ぐらい前かな、フジテレビ系で「それが答えだ」というドラマがありました。
かなり性格に難有りだが世界的なマエストロが、首席指揮者を務めるオーケストラで、団員に演奏をボイコットされます。
その演奏会の練習中、オケの中でも古株のヴァイオリン奏者を「私の指示に従えないのであればやめてください」といって、
練習中にもかかわらず首にしてしまい、それで団員の反感を買ってしまったからでした。
その時練習していたのがまさにこの第4楽章でした。冒頭を聞くと、いつもこのドラマを思い出してしまう・・・。

中盤、弦楽器が持ち直し、冒頭から元気なまんまの管楽器の活躍もあり、かなり安定した演奏になってました。
そして、曲の後半。私がドキドキしながら待ちかまえていた場所がやって来ました。
一旦静かになり、その後ヴィオラが再び来る嵐を警戒するかの如く鳴るところ。格好いいんです。
でも、ちょっと気合いはいりすぎていた・・・。一番低いC線で、たぶんFGA(ファソラ)をSul C、3ポジで弾くんじゃないかな。
確かに一番いい音が鳴るポイントの一つではあるけど、気合い入りすぎて音がビリビリしすぎてノイズが多かった。
弓を根本に引っかけすぎていたのかな。一気にさっと下ろすような感じがいいのかな弾き方は。 

終始菅セクがリードし、フィナーレも物凄く完成度の高い、感動的な演奏になりました。
最後の最後、ホルンパート全員が総立ちになり演奏。フォルテが沢山付くところでベルアップすることはしばしばですが、
立ち上がるというのは初めてみました。 格好良かったー。後半は殆ど金管セクがメインのところですが、
うるさすぎず大人しすぎず理性を保ったままの演奏は、さすがプロだなーって思いました。



総じて、菅セクション、打楽器が物凄い安定した演奏をしてくれていたので、
常に演奏をリードして、弦セクが弱くても質のいい、魅力的な演奏を作ってくれていました。
弦セクは終盤に向かうにつれて徐々にいい音が鳴り始めていましたが、
全般的にマーラーの楽曲演奏そのものに慣れていない感じがしました。手探り状態といいますか・・・。
特にメロディーを担当することが多い1stヴァイオリンにチェロかな。
菅セクに負けじともっと自我が強くてもよかった。

また、マーラーの楽曲を視覚的にも楽しめました。
「あ、ここはこういう風に演奏してるんだ」というが解るのは生演奏では共通して言えることだけど、
特にマーラーの場合、各セクション、パートの演奏形態が様々で見ていて本当に楽しかったです。
変則ディビジが出てきたり、コントラバスのSoloが出てきたり、バンダでの演奏が出てきたり等々。





久し振りのコンサート、とってもよい演奏に巡り会うことが出来ました。大満足!!

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